ものづくり技術からみる再生医療 : 細胞研究・創薬・治療 (CMCテクニカルライブラリー. バイオテクノロジー シリーズ 643)

ものづくり技術からみる再生医療

細胞研究・創薬・治療

CMCテクニカルライブラリー. バイオテクノロジー シリーズ 643

共著
医歯薬・生命
田畑泰彦監修
田畑康彦(医生物学研究所 / 分担執筆)
Yasuhiko Tabata (医生物学研究所, 分担執筆)
出版年月
図書体裁
B5
出版社
シーエムシー出版
ISBN
9784781312743
定価(税抜)
5,600
頁数
282
本文言語
日本語

内容紹介

2011年刊「ものづくり技術からみる再生医療」の普及版。治療へと繋がる生体材料や生理活性物質研究の"材料"と"技術",そして"臨床応用"事例から"産業化"への課題まで,再生医療分野参入へのヒントを解説している。

目次

序論 ものづくり技術からみる再生医療 
1 再生医療とは何か
2 バイオマテリアルの定義とその技術の守備範囲
3 再生医療に必要なものづくり技術
4 再生治療のためのドラッグデリバリーシステム
5 細胞研究と創薬研究に必要なものづくり技術
6 今後,ますます再生医療に必要となっていくものづくり技術

第1編:再生医療に必要な"材料"とは
第1章 細胞(ES細胞・iPS細胞) 
1 はじめに
2 ES/iPS細胞とは
2.1 ES細胞とは
2.2 iPS細胞とは
3 ES/iPS細胞の標準化
4 細胞バンク
5 ES/iPS細胞を用いた再生医療に向けた展望
5.1 細胞株の選択
5.2 異種成分不含(Xenogenic Free)培養システム
5.3 量の確保
5.4 細胞の純化
6 その他の利用方法(ヒトの臓器を動物体内で再生する)
7 終わりに

第2章 細胞(その他の幹細胞など)―ものづくりから考察する幹細胞の居心地―  
1 はじめに
2 幹細胞の特性
3 幹細胞を制御するシグナル
4 幹細胞の「居心地」を探り,人工的につくる
5 おわりに

第3章 再生医療のための培養器材 
1 ライフサイエンスにおける当社のあゆみ
2 細胞接着タンパク質の活性部位配列ペプチドを修飾した培養器
3 タンパク質吸着抑制表面処理を施した培養器
4 高水準の品質管理がなされた培養器具
5 糖鎖を指標とした細胞の品質管理の可能性
6 おわりに

第4章 ものづくりに役立つ細胞外マトッリクス(コラーゲン,エラスチン,ラミニン,グリコサミノグリカン) 
1 はじめに
2 コラーゲン
3 弾性線維
4 基底板
5 グリコサミノグリカン
6 おわりに

第5章  細胞増殖因子・成長因子 
1 はじめに
2 細胞増殖因子のプロフィール
3 細胞増殖因子受容体とシグナル伝達
4 再生医療医薬のための細胞増殖因子の応用
5 細胞増殖因子の医薬開発
6 おわりに

第6章 生理活性物質ケモカイン 
1 はじめに
2 ケモカインとその受容体の同定
3 炎症・炎症性疾患とケモカイン
4 免疫担当細胞の産生とケモカイン
4.1 造血幹細胞
4.2 Bリンパ球
4.3 Tリンパ球
5 器官形成とケモカイン
5.1 リンパ節の形成とケモカイン
5.2 心血管形成,神経形成とケモカイン
5.3 生殖細胞幹細胞とケモカイン
6 免疫監視とケモカイン
7 GVHDとケモカイン
8 エイズとケモカイン
9 癌のリンパ器官への転移とケモカイン
10 組織再生とケモカイン
11 おわりに―ケモカイン制御の臨床応用―

第7章 生体吸収性および非吸収性高分子 
1 はじめに
2 生体吸収性高分子
2.1 生体吸収性高分子の分類
2.2 酵素分解型生体内分解吸収性高分子
2.2.1 ペプチド,タンパク質
2.2.2 多糖
2.2.3 核酸
2.3 自然分解型生体内分解吸収性高分子
2.3.1 ポリエステル類
2.3.2 その他
3 非吸収性高分子
3.1 非吸収性高分子の分類
3.2 縮合系ポリマー
3.3 ビニル系ポリマー

第8章 金属とセラミックス 
1 材料としての金属とセラミックス
2 金属の医療用途
3 セラミックスの医療用途
4 金属-セラミックス複合材料
4.1 金属-セラミックス複合材料の必要性
4.2 ドライプロセス
4.3 ウェットプロセス
5 高分子複合化
6 再生医療への応用

第9章 DDS・徐放化技術  
1 はじめに
2 徐放化技術に用いられるバイオマテリアル
3 生体吸収性ハイドロゲルからの細胞増殖因子の徐放化
4 徐放化細胞増殖因子による再生修復の促進
5 細胞移植治療効果を増強するための血管新生因子の徐放化
6 細胞増殖因子の徐放化技術を組み込んだ足場材料
7 生体吸収性ハイドロゲルからの核酸物質の徐放化
8 生体吸収性ハイドロゲルからの低分子化合物の徐放化
9 おわりに

第2編:再生医療に必要な"技術"とは
第1章 バイオマテリアル足場技術と細胞の三次元化
1 はじめに
2 足場の特性と役割
3 機能性足場の設計
4 生理活性ペプチド・タンパク質を固定化した機能性足場の設計
4.1 吸着法
4.2 共有結合法
5 タンパク質を内包した機能性足場の設計

第2章 ものづくりとしての細胞シート工学 
1 はじめに
2 細胞シート工学とは
3 細胞シート移植デバイス
4 三次元プリンター
5 組織ファクトリー
6 おわりに

第3章 ES/iPS細胞の増殖・分化・組織構築を制御する人工マトリックスの設計
―細胞用まな板"Cell-cooking plate"をめざして―
1 ES/iPS細胞を用いた再生医療の課題
2 E-cad-FcによるES/iPS細胞の均一分散培養の実現
3 ヒトiPS細胞のE-cad-Fcを用いた標準化された培養技術の開発
4 ES/iPS細胞の分化を自在に制御する"細胞まな板"の実現

第4章 細胞の遺伝子改変技術 
1 再生医療における細胞の遺伝子改変技術の位置づけ
2 細胞の遺伝子改変に必要な技術および方法論
2.1 ナノサイズの遺伝子導入キャリア:カチオン化多糖
2.2 マイクロサイズの遺伝子導入キャリア:カチオン化ゼラチンハイドロゲル微粒子
2.3 マクロサイズの遺伝子導入法:リバーストランスフェクション法
3 遺伝子改変細胞を用いた再生医療
4 遺伝子改変技術を用いた再生医療のための基礎細胞生物学研究への展開
5 遺伝子改変技術を用いた再生医療のためのイメージング研究への展開
6 おわりに

第5章 生体材料-細胞間の相互作用 
1 はじめに
2 材料表面への細胞接着
3 細胞表面に形成したナノ薄膜の影響
4 細胞積層法
5 細胞集積法による血管網を有する積層組織の短期構築
6 まとめ

第6章 再生医療用バイオマテリアルの表面修飾・ナノ‐ミクロ‐マクロ構造制御技術 
1 はじめに
2 材料のナノ界面制御技術
2.1 生体成分との最少相互作用界面の設計
2.2 機能界面の設計
3 高次構造制御
3.1 ナノファイバー化の意義
3.2 ナノファイバーの構造制御
3.3 細胞-ナノファイバーの相互作用の規格化と定量評価
4 機能性組織足場の構築:血管を誘導する足場材料
5 まとめ

第7章 バイオマテリアルの生体適合性の評価  
1 はじめに
2 生体-材料間の反応と生体適合性
3 生体適合性の定義
4 生体適合性試験法
5 生体適合性と非特異的相互作用
6 分子生物学的評価について
6.1 mRNA発現評価の一例
6.2 遺伝子解析技術の現在と将来
7 再生医療におけるバイオマテリアルの生体適合性についての一考察
8 まとめ

第8章 再生医療のための研究に有用な培養装置・実験器具の開発 
1 はじめに
2 細胞培養の特徴と道具について
3 工程管理のための統合された培養装置の役割と周辺技術
4 品質管理での道具の必要性
5 おわりに

第9章 幹細胞を用いての創薬研究技術 
1 はじめに
2 ヒト幹細胞由来心筋細胞を用いた毒性検査技術
3 オンチップ1細胞培養法の開発
4 オンチップ多電極計測システムを用いたヒト幹細胞由来心筋細胞の細胞外電位計測と薬物毒性評価
5 おわりに

第10章 細胞の評価技術 
1 再生医療の現状と細胞の評価
2 再生医療のプロセスとビジネス可能領域
3 臨床現場で望まれている細胞の評価技術
4 新たな細胞評価技術の先端医療への適応
5 将来の再生医療に利用される細胞評価技術
6 新たな細胞培養方法の発展と評価系の構築
7 臨床応用に向けた幹細胞の評価技術の必要性

第3編 ものづくり技術を生かした再生医療の臨床応用
第1章 再生誘導スペース確保のためのバイオマテリアル―歯周組織再生誘導法(GTR法) 
1 歯周病と歯周組織の破壊
2 歯周組織再生の原理
3 GTR膜の種類
4 GTR法の実際

第2章 再生治療に必要なドラッグデリバリーシステムとバイオマテリアル技術 
1 再生治療の基本概念とそれを実現するものづくり技術
2 バイオマテリアル足場技術を利用した再生治療
3 ドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用した再生治療
4 ますます高まる再生治療におけるものづくり技術の重要性

第3章 細胞増殖因子徐放化ハイドロゲルを応用した血管新生誘導 
1 はじめに
2 さまざまな血管新生療法
3 生体吸収性ゼラチンハイドロゲルによるDDS
4 心臓血管外科領域におけるゼラチンハイドロゲルの応用
4.1 バイオCABG
4.2 胸骨治癒促進・感染予防
4.3 重症下肢虚血
5 「患者さんに届く」再生医療のために
6 おわりに

第4章 足場材料による骨欠損再生―眼窩下壁骨折に試用したバイオマテリアルの骨形成能とその長期成績―
1 はじめに
2 対象
3 骨誘導型吸収性ポリマー
4 手術方法
5 CT値による骨形成能の評価
6 結果
7 代表症例
8 考察

第5章 足場材料とbFGFを用いた難治性皮膚潰瘍治療 
1 人工真皮の基本的な使い方
2 難治性潰瘍とは 
3 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)製剤と人工真皮の併用
4 人工真皮の今後の課題

第6章 細胞と細胞増殖因子を用いた難治性皮膚潰瘍治療 
1 はじめに
2 自己骨髄幹細胞浸透人工真皮による組織再生法
3 DDS徐放化b-FGF(塩基性繊維芽細胞増殖因子)ハイドロゲル浸透人工真皮による組織再生法
4 おわりに

第7章 細胞と足場材料を用いた関節軟骨再生治療
1 はじめに
2 関節軟骨損傷
3 自家培養軟骨細胞移植術
3.1 軟骨採取
3.2 移植手技
4 臨床成績
5 細胞と足場材料
6 今後の展望
7 おわりに

第8章 多血小板血漿と足場材料を用いた骨再生治療 
1 はじめに
2 多血小板血漿を用いた組織再生医療
3 PRPによる骨形成術の現状と問題点
3.1 PRPの作製法の相違
3.2 PRPと併用するマテリアルの多様性
4 PRPの骨形成能を高めるためのスキャフォードの開発
4.1 PRPと併用される骨補填材料
4.2 ゼラチンハイドロゲルによるPRP含有成長因子の徐放効果
4.3 ゼラチンβ-TCPスポンジの特徴
5 PRPとゼラチンβ-TCPスポンジと組み合わせた骨形成促進法
6 今後の展望

第9章 角膜再生治療と足場材料 
1 再生医療とは
2 幹細胞とは
3 細胞を用いたヒトの治療
4 角膜再生治療と足場材料
5 最後に

第10章 ゼラチンハイドロゲルによるIGF-1徐放を用いた難聴治療 
1 はじめに
2 難聴治療の現状
3 臨床試験のデザインに必要なエビデンスの形成
4 臨床試験
5 IGF-1局所徐放臨床試験の位置づけ

第11章 bFGF徐放化ハイドロゲルを用いた鼓膜再生治療 
1 はじめに
2 ゼラチンハイドロゲルを用いたbFGF製剤によるモルモット鼓膜再生の研究
2.1 方法
2.2 結果
2.3 考察
3 ゼラチンハイドロゲルを用いたbFGF製剤による鼓膜再生治療の展望
4 おわりに

第4編:再生医学から再生医療へ―産業化に向けて―
第1章 再生医療の産業化と課題解決に向けた努力
1 はじめに
2 世界における再生医療の産業化の現状
3 海外における再生医療産業化の促進体制
3.1 米国
3.2 欧州
3.3 アジア(韓国)
4 再生医療の産業化に向けた隘路・課題
4.1 "先端標準治療"ものづくり拠点の構築
4.2 バンク(ヒト細胞の研究から商業利用まで)と細胞治療の国際規格
4.3 特許・標準化
4.4 臨床試験・治験の薬事規制と補償・保険
5 日本産業界のイニシアチブ発揮へ

第2章 ものづくり特許戦略 
1 はじめに
2 先端的研究成果であるがゆえに
3 ローリスク・ハイリターンの知財経営を目指した知財戦略
4 産学アライアンスによる新たな知財・特許の意義
5 知財価値の評価
6 おわりに

第3章 現行規制の観点からみた再生医療技術開発戦略 
1 はじめに
2 日本における新規医療技術開発のアプローチ
3 再生医療は「医療行為」か「製品」か
4 医師法的アプローチの開発戦略上の問題点
5 薬事法的アプローチと医師法的アプローチ,それぞれの活用
6 最近の規制緩和の動きと今後の動向
7 おわりに

第4章 バイオマテリアルを用いた再生医療の臨床応用への規制,ガイドライン 
1 はじめに
2 バイオマテリアルを考えるときに大事なこと
3 バイオリアクティブであること
4 細胞・組織を伴うこと
5 規制やガイドラインとステージの関係
6 おわりに

図書に貢献している教員