多民族社会の軍事統治 : 出土史料が語る中国古代

多民族社会の軍事統治

出土史料が語る中国古代

編著
歴史
宮宅潔 編
宮宅潔(人文科学研究所 / 編集, 分担執筆), 藤井律之(人文科学研究所 / 分担執筆)
Kiyoshi Miyake (人文科学研究所, 編集, 分担執筆), Noriyuki Fujii (人文科学研究所, 分担執筆)
出版年月
図書体裁
A5
出版社
京都大学学術出版会
ISBN
9784814001361
定価(税抜)
4,800
頁数
396
本文言語
日本語

目次

はじめに
 ――共同研究の経緯と問題の所在

Ⅰ 研究動向篇
第1章 中国古代軍事史研究の現状[宮宅 潔]
はじめに
1欧米における中国軍事研究――三つの“Introduction”から
2中国における軍事史研究
3日本における中国軍事史研究――秦漢時代
4「軍事」への注視と史料の洗い直し

第2章 「闘争集団」と「普遍的軍事秩序」のあいだ
     ――親衛軍研究の可能性[丸橋充拓]
はじめに
1親衛軍研究の近況と展望
2親衛軍の二面性
3隋唐軍制理解への波及
おわりに

Ⅱ 論考篇
第1部 「中華」の拡大と軍事制度:占領支配の諸相
第3章 征服から占領統治へ
     ――里耶秦簡に見える穀物支給と駐屯軍[宮宅 潔]
はじめに
1穀物支給簡の分析
2戍卒への穀物支給
おわりに

第4章 秦代遷陵県の「庫」に関する初歩的考察[陳 偉]
1職掌
2吏員
3徒隷
4関連問題

第5章 漢代西北辺境防備軍の社会構造
     ――出土史料の分析に基づく方法論的考察[エノ・ギーレ]
はじめに――典籍史料から
1研究上の課題と関連する問題
2理論上の土台と軍事制度
3徴兵の仕組み
4研究状況
5肩水金関漢簡から得られる情報と方法論上の問題点

第6章 漢代長城警備体制の変容[鷹取祐司]
はじめに
1戍卒出身地の変化
2成帝中期以降における戍卒の出身地変化の背景
3居延における長城警備体制の変容
おわりに

第2部 軍事制度よりみた古代帝国の構造
第7章 秦漢「内史―諸郡」武官変遷考
      ――軍事体制より日常行政体制への転換を背景として[孫 聞博]
はじめに
1秦及び漢初における「内史―諸郡」の武官の対等構造
2武帝以降における地方武官の「辺地化」の趨勢
3後漢の軍事組織の「辺地化」と地方の屯兵

第8章 漢代における周辺民族と軍事
     ――とくに属国都尉と異民族統御官を中心に[佐藤達郎]
はじめに
1漢代における周辺民族の軍事動員とその歴史的影響
2漢代における周辺民族の管理
3属国都尉下の諸民族管理と軍事動員
4「異民族統御官」下の周辺民族管理と軍事動員――特に烏桓校尉、護羌校尉の場合
5「帰義蛮夷」をめぐって

第9章 漢帝国の辺境支配と部都尉[金 秉駿]
はじめに
1部都尉は異民族を主管する特殊機構か
2部都尉は郡県に比べて緩やかな政策を展開したか
3部都尉は郡都尉とは別の特殊組織か
4部都尉は異民族の民事を統御する「治民機関」か
おわりに

第3部 「中華」の転換と再編:多民族社会における軍事と支配
第10章 前秦政権における「民族」と軍事[藤井律之]
はじめに
1前秦の兵力
2石刻史料にみえる「民族」と軍事
3氐戸の分徙
おわりに

第11章 北魏道武帝の「部族解散」と高車部族に対する羈縻支配[佐川英治]
はじめに
1高車伝「得別為部落」条の検討
2道武帝と高車諸部族
3柔然の勃興
4護高車中郎将と附国高車
おわりに

第12章 唐前半期における羈縻州・蕃兵・軍制に関する覚書
      ――営州を事例として[森部 豊]
はじめに
1唐代営州の沿革
2営州管内の羈縻州と軍府
3初唐期の行軍と契丹系軍府
おわりに

第13章 唐代高句麗・百済系蕃将の待遇及び生存戦略[李基天]
1問題の所在
2唐前期における蕃将中の諸衛将軍の任命傾向
3高句麗・百済系蕃将の入仕類型
4高句麗・百済系蕃将の武官号及び唐朝の待遇
5番将の勢力基盤
6結びに代えて――唐朝の蕃将に対する認識及び蕃将の生存戦略

後記
索引

図書に貢献している教員