見知らぬものと出会う : ファースト・コンタクトの相互行為論

見知らぬものと出会う

ファースト・コンタクトの相互行為論

単著
哲学・思想
文学・芸術
文化・宗教
木村大治 (アジア・アフリカ地域研究研究科 / 著者)
Daiji Kimura (アジア・アフリカ地域研究研究科, 著者)
出版年月
図書体裁
四六
出版社
東京大学出版会
ISBN
9784130131520
定価(税抜)
2,800
頁数
304
本文言語
日本語

内容紹介

「未知との遭遇」の多様な思考実験の蓄積があるSF(サイエンス・フィクション)作品を渉猟し,著者自身によるフィールドワーク,文化人類学,霊長類学,相互行為論,分析哲学などの知見を縦横無尽に参照して,コミュニケーションの成立条件を考察する.

「宇宙」とはすなわち,いまだわれわれの手の届かない場所のことを指している.しかしそこに,「人」すなわち何らかの意味でわれわれの理解可能な存在がいるというのである.「宇宙・人」を考えるということ自体がまさに,想像できないことを想像しようとする営為なのだ.さらに言えば,よりわれわれに身近なはずの「他者」さえも,同様な構造を持っている.「他・者」とは,私の手の届かない「他」であると同時に,石ころなどの「物(もの)」とは異なる,私と同質の「者(もの)」でもあるのだ.(「プロローグ」より)

目次

プロローグ 宇宙・人

I 想像できないことを想像する
 第1章 宇宙人という表象
 第2章 投 射――想像できないことを想像するやり方

第一の幕間 双対図式――投射と「枠」

II 見知らぬものと出会う
 第3章 コンタクトの二つの顔
 第4章 「規則性」の性質――不可知性・意外性・面白さ
 第5章 規則性のためのリソース――コードなきコミュニケーションへ

第二の幕間 それでもなお相互行為は可能か

III 枠と投射
 第6章 ファースト・コンタクトSFを読む
 第7章 仲良く喧嘩すること
 第8章 枠・投射・信頼

エピローグ 接触に備えたまえ

ブックレビュー

「ああ、面白かったら何でもええです」。学生時代、指導教員のそんな一言に人類学研究の迷いを振り払われたという著者は、本学の教授として学際的な研究をつづけている。

宇宙人との出会い方を扱った本書も、なるほど面白い一冊だ。それは、想像できないことを想像することにほかならない。この根本的な矛盾を直視する第Ⅰ部では、宇宙人との邂逅という特殊な出来事を、他者理解一般の問題と接続させることで、似非科学に陥らない説得的な論述を可能にしている。

図書に貢献している教員