日本の表装と修理
目次
口 絵
はじめに
第一部 現代の装潢・文化財修理
装潢師の声を聞く―技術者から見た装潢文化財修理の進化 岩﨑奈緒子
はじめに
一 絵画と書跡の間
二 汚さない修理を―絵画修理の展開
三 課題を乗り越えて―書跡修理の展開
結びに代えて
表具師から装潢師へ 岡興造
はじめに―紙を裁つ、紙を貼る
一 近世以前の装潢師の歴史
二 近代京都での装潢師
三 装潢技術による文化財修理のはじまり
五 新しい修理技術、修理材料の開発
六 この一世紀の大きな変化
おわりにかえて
古文書修理の歴史と理念 湯山賢一
はじめに
一 装潢の歴史
二 古文書の料紙
三 古文書の保存と管理
四 文書と古文書
五 古文書修理の歩み
むすびにかえて
第二部 表装の文化史
日本中世の仏画の表装 谷口耕生
はじめに
一 仏画の掛軸装
二 「裱褙」の語と技術の受容
三 「本尊表紙」の確立
四 南都仏画の「新表法」
結語
〝東山表具〟の成立をめぐる小考 板倉聖哲
江月宗玩による表具の記録と制作 門脇むつみ
はじめに―表具文化史における江月宗玩
一 表具を記録する―『墨蹟之写』、『天王寺屋会記』
二 記録者としての特徴
三 表具を誂える―紹智金襴(白地丸龍文)の愛好
四 表具師との関わり
むすび
表装が伝えるもの―後水尾院縁の掛軸を事例として 髙田智仁
はじめに
一 後水尾院縁の五幅の掛軸
二 般舟院伝来の後水尾院御影と大阪青山本御影
三 後水尾院と表装
おわりに
近代日本における中国書画蒐集と表装 竹浪遠
はじめに
一 明治における中国書画受容と表装
二 大正・昭和前期における中国書画流入と関西のコレクターたち
おわりに
近代日本画の材料と表装 中野慎之
はじめに―問題の所在
一 基底材―絹・紙・礬水
二 絵画表現―膠・墨・絵具
三 絵画の制作
四 表装―表具師とその技術
おわりに―日本画の材料・形式・保存
第三部 修理の文化史
平安時代の仏画制作とその修理 増記隆介
はじめに
一 平安時代の仏画制作
二 平安時代の仏画修理
おわりに
前近代における書跡・古文書修理の諸相―現状維持の理念をめぐって 横内裕人
はじめに―国宝・東大寺文書の修理をつうじて
一 古文書の修理
二 書跡の修理
おわりに
護持院隆光の寺社修理―元禄期の奈良を中心に 古川攝一
はじめに
一 綱吉政権期の寺社修理事業
二 奈良の寺社修理事業
三 護持院隆光と寺社修理―元禄期の奈良
四 修理の記憶―唐招提寺所蔵「十六羅漢図」
おわりに
近世における障壁画の保存と継承 森道彦
はじめに
一 中世障壁画のゆくえ
二 障壁画の保存・活用と近世社会
障壁画の履歴の意味―結びにかえて
近世ヨーロッパ美術と修復―芸術作品の受容史の視点から 平川佳世
はじめに
一 西洋絵画の物質的な成り立ちと堅牢性
二 宗教空間における芸術作品の改変
三 祈りの対象から美的オブジェへと変容する絵画
四 芸術愛好家たちの作品改変―前近代における作品鑑賞のあり方
あとがき
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