アフェクトゥス (情動) : 生の外側に触れる
目次
はじめに―アフェクトゥス(情動)的世界への招待 [西井凉子・箭内 匡]
序 章 書き割りの身をうぐいす、無限小の幸福 [中村恭子]
1 アフェクトゥス、あるいは空虚を身体に刻む
2 顕在する仮想と潜在する現実
3 書き割りの向こう側
4 書き割りの身、うぐひすは無限小の幸福
5 外部に控えるものたち
第1部 アフェクトゥス論の射程
第1章 スピノザと「植物人類学」
―アフェクトゥス概念の人類学的一展開 [箭内 匡]
1 スピノザにおける個体と撼動
2 植物人類学の必要性
3 植物的アニミズム
4 植物の政治
5 「植物になる」
第2章 熱帯雨林との感受―共振とうなり [黒田末寿]
1 感受の様相
2 森を感受する:共振とうなり
第3章 光 景―現実に陰影をつける
[ヴィンセント・クラパンザーノ(池田昭光・小栗宏太・箭内 匡[訳])]
第2部 アフェクトゥスと潜在性―生・死・影
第4章 弔いとしての家―情動・モノ・死者 [西井凉子]
1 「弔い」から生の潜在性へ
2 ナーチュアと家
3 ケアと看取り―死にむかう身体と家
4 死によって開かれる家
5 墓と親族のサーラー(sala あずま屋)
6 「弔い」と情動
第5章 悪夢を感受し、「夢達」を甘受する
―スーダン東南部における影の共同体 [岡崎 彰]
1 夢経験の受動性と事件性
2 影の共同体
3 魔物と誘惑
4 陽気な夢達
第6章 生を産むアフェクトゥス
―ニジェール西部農村の命名式をめぐって [佐久間寛]
1 背景
2 命名式
3 名付ける身体、名を受ける身体、名を記す身体
第3部 アフェクトゥスと社会性―表層・リズム・パターン
第7章 皮膚的建築
―情動の場としてのルーマニアのロマの家屋と音楽
[岩谷彩子]
1 情動の場における表面性
2 ルーマニアのロマ―迫害の歴史と現在
3 ヴァーチャルなものが現在化する建築―ロマ御殿の表面
4 ロマ御殿に響くマネレ―顕在化するコミュニティ内の対立
5 表面的でかつヴァーチャルな深層が表出する建築と音楽
第8章 境界、動作、リズム
―ビャンス及び周辺地域の「太鼓演奏」の諸相
[名和克郎]
1 太鼓演奏がもたらすもの
2 民族誌的背景
3 「太鼓演奏」に関する外形的記述
4 代表性と周縁性―太鼓演奏を巡る二つの境界
5 太鼓演奏と踊る身体
6 演奏とリズム
第9章 「贈与」をあたらしく記述する [春日直樹]
1 「アフェクト」とパターン
2 妻方と夫方のあいだで
3 対称性を記す
4 やりとりする人と財、および双方の視点
5 「贈与」の簡潔な定義Ⅰ
6 友好と敵対のダイナミクスを含む定義Ⅱ
7 「贈与」のパターンと「アフェクト」
第4部 アフェクトゥス論の発展
第10章 テクノロジーと情動―現代将棋における機械と人間
[久保明教]
1 技術と変様
2 意識の専制を離れて
3 これは世界の終わりではない
4 バグとバグでないもの
5 研究と勉強
6 テクノロジーへの内在
第11章 回想の表情/姿勢とその揺らぎ
―供述聴取のテクノロジーをめぐって [高木光太郎]
1 証言の表情
2 想起者の表情/姿勢の曖昧さ
3 証言の「採取」
4 子どもからの供述聴取
5 NICHDプロトコル
6 「隙間のあるフレーミング」と外部
第12章 ドゥルーズとガタリの「政治哲学」という未解決問題
―『天然知能』と『イメージの人類学』の観点から
[近藤和敬]
1 本書全体のなかでの位置づけ―「アフェクト」という問題圏を遡る
2 ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』における未解決問題
3 哲学を「原生理論」として徹底すること―「自然権」概念を例に
4 郡司ペギオ幸夫の「天然知能」とドゥルーズとガタリの「脳」
5 「三つの意識タイプ」と『哲学とは何か』における哲学・芸術・科学
6 「タイプⅢの意識」と哲学の「現在形式」
7 現代人類学における「他なるもの」と「不可量部分」
8 箭内匡の「イメージ」と「社会身体」
9 「イメージ平面」、「イメージ=力」あるいは「感受」の解釈
10 「総かり立て体制」と資本主義における「相対的脱領土化」、
そして思考の「絶対的再領土化」の「現在形式」への批判
11 結論
第13章 外部を召還する過程・装置としての情動、
その形式的理解 [郡司ペギオ幸夫]
1 形式を通した理解の意味:身体と対角線論法
2 認知的非局所性を構想する:対角成分の向こう側
3 反=反相対主義の情動的転回:まとめにかえて
終 章 アフェクトゥスとは何か? [箭内 匡・西井凉子]
1 アフェクトゥスの問題性
2 スピノザのシステム
3 撼受と撼動の間で―「外部」と個体性
4 結晶的描写
5 アフェクトゥス的世界像
おわりに [西井凉子・箭内 匡]
索 引