〈電気ショック〉の時代 : ニューロモデュレーションの系譜

〈電気ショック〉の時代

ニューロモデュレーションの系譜

翻訳医歯薬・生命

エドワード・ショーター, デイヴィッド・ヒーリー, 川島啓嗣 他共訳
諏訪太朗 (医学部附属病院 / 共訳)
出版年月
2018.12
図書体裁
四六判
出版社
みすず書房
ISBN
9784622086789
定価(税抜)
5,800円
頁数
544
本文言語
日本語

内容紹介

第1章 精神医学のペニシリン?

第2章 「統合失調症の経過における生物学的介入についての諸実験」
精神医学におけるショック療法の幕開け
マンフレート・ザーケルとインスリン昏睡療法
ラディスラウス・メドゥナとけいれん誘発――メトラゾール療法

第3章 「電気で治る狂気」
ウーゴ・チェルレッティとECTの発明
最初の電気ショック治療
前進
ヨーロッパ時代のカリノフスキー

第4章 大学病院から精神科病院へ――ショック療法は海を渡る
インスリンの時代
メトラゾールの時代
電気けいれん療法の成功
ニューヨーク時代のカリノフスキー
ECTはアメリカ全土に広がる

第5章 寝椅子か、治療台か?
精神分析とECT――愛と憎しみの関係
アキレスの踵
不信の克服
外来患者へのECT

第6章 ECTはゾンビを作らず
患者の不安
記憶の喪失
インドクロン――「非電撃」療法
骨折
「脳へのダメージ」
やむを得ないことをよしとする?――当時のいくつかの治療

第7章 「脳を焼かれる!」
ECTの奇妙な衰退
映画に描かれたECT
ECTに背を向ける知識階級
ECTを放棄した精神医学

第8章 「ベスレム精神科病院」の終焉と精神薬理学の時代
抗精神病薬とECT
抗うつ薬とECT
精神薬理学の地平にたちこめる暗雲
ECTと製薬業界

第9章 揺れる振り子――政治・法律・医療文化の変化がECTに与えた影響
反精神医学
サバイバー
インフォームド・コンセント
ミッチェルとインフォームド・コンセント
「公的な医療費補助」を受けている人にはインフォームド・コンセントに対していかなる権利があるのか?
「ちきしょう! 早く息をしやがれ」
記憶戦争
恐怖から損傷へ
しかしなぜ記憶が?

第10章 エレクトロガールと新しいECT
「治療抵抗性」の症例
回帰のはじまり
回帰――ニューヨークの状況
支援の波
心理学者たちとECT
逆転!
国際的な状況

第11章 磁気刺激と埋込型装置――新世紀の最新治療?
経頭蓋磁気刺激
精神医学におけるTMS
脳を可視化する
左か、右か?
疑わしいときには電気を流せ――電磁気学の誘惑
迷走神経刺激法
深部脳刺激
新時代の幕開け?

第12章 エピローグ――不合理な科学

訳者解題
原注
索引

目次

「発見から70年経った今日、なぜ電気けいれん療法(ECT)が患者や多くの医師からひどい汚名を着せられているのだろうか? ECTはある意味において精神医学のペニシリンである」
19世紀後半に至るまで、精神科治療は鎮静に限られていた。1900年以降に精神薬理学の進歩が起こったのちも、症状の波に襲われているさなかの統合失調症とメランコリーの患者にとっては、医学は何の救いにもならなかった。家族は絶望し、カルテでは自殺のことが絶えず話題に上がった。
そんな失意の時代にあった精神科治療に光をもたらした「ショック療法」は、本当に非人道的で危険なだけの治療法なのだろうか? 本書はECTのみならず、その前史となるインスリン昏睡療法やメトラゾールけいれん療法、そして近年のニューロモデュレーションへと至る、精神科における身体療法の系譜を描くものである。
精神科治療においてECTの有効性が再評価されつつある今日、身体療法のパイオニアとなった医学者たちの足跡を追い、ショック療法がなぜこれほどまで忌避されてきたのか、その悲運の歴史を紐解く。
当事者たちの証言と膨大な文献・資料を渉猟し、互いに翻弄しあう20世紀の社会と精神医学界を描き切った、二人の医学史家による快著である。

図書に貢献している教員