ロシア文学からの旅 : 交錯する人と言葉 (シリーズ・世界の文学をひらく 6)

ロシア文学からの旅

交錯する人と言葉

シリーズ・世界の文学をひらく 6

編著
文学・芸術
中村唯史, 坂庭淳史, 小椋彩編著
中村唯史(文学研究科 / 共著者)
Tadashi Nakamura (文学研究科, 共著者)
出版年月
図書体裁
B5判
出版社
ミネルヴァ書房
ISBN
9784623094004
定価(税抜)
2,800
頁数
256
本文言語
日本語

内容紹介

実体化する「境界」に抗して、さまざまな言語・民族・宗教が混在するロシア。その広大な風土のうえに、どのように文学が生まれたのだろうか。
民族や国家の枠組みを超え、交錯する人と言葉を軸に、ロシア文学の広がりと世界へのつながりを詳しく紹介する。各項目の冒頭に作品やテーマの鍵となる原文とその日本語訳を掲げ、最新の知見にもとづき『イーゴリ軍記』からドストエフスキーを経てアレクシエーヴィチまでの作家・作品研究とテーマ研究を見開き2頁で解説。本書は読者を、ロシア文学の「現場」に――その多様な作品・作家・事象へと誘う。「国民文学」の境界を超えて、「ロシア」を世界へ、「文学」を時代や状況へとひらく新しい入門書。

目次

はじめに──ロシア文学の「現場」から始まる旅へ
地 図


 1 ロシア文学の時間
 2 ロシア文学の空間
 3 ロシア文学の言語

 第Ⅰ部 テクスト──ロシア文学の作家と作品

A 中世文学
 イントロダクション 中世文学
 1 『ボリスとグレープの物語』
 2 『イーゴリ軍記』
 3 『アヴァークム自伝』

B 19世紀の文学
 イントロダクション 19世紀のロシア文学
 1 ニコライ・カラムジン『哀れなリーザ』
 2 アレクサンドル・プーシキン『ベールキン物語』
 3 アレクサンドル・プーシキン『青銅の騎士』
 4 ニコライ・ゴーゴリ『査察官』(『検察官』)
 5 ミハイル・レールモントフ『現代の英雄』
 6 ニコライ・ゴーゴリ『外套』
 7 イワン・ツルゲーネフ『猟人日記』
 8 イワン・ゴンチャローフ『オブローモフ』
 9 イワン・ツルゲーネフ『その前夜』
 10 フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』
 11 アレクサンドル・ゲルツェン『過去と思索』
 12 フョードル・ドストエフスキー『白痴』
 13 レフ・トルストイ『戦争と平和』
 14 ミハイル・サルトゥイコフ=シチェドリン『ある町の歴史』
 15 ニコライ・レスコフ『魅せられた旅人』
 16 ニコライ・ネクラーソフ『ロシアは誰に住みよいか』
 17 レフ・トルストイ『アンナ・カレーニナ』
 18 アレクサンドル・オストロフスキー『持参金のない娘』
 19 フセヴォロド・ガルシン『赤い花』
 20 フョードル・ソログープ『光と影』
 21 マクシム・ゴーリキー『チェルカッシ』
 22 アントン・チェーホフ『谷間にて』
 23 アントン・チェーホフ『三人姉妹』
 24 マクシム・ゴーリキー『どん底』

C 20世紀の文学
 イントロダクション 20世紀のロシア文学
 1 アレクセイ・レーミゾフ『お陽さまを追って(ポーソロニ)』
 2 アンドレイ・ベールイ『銀の鳩』
 3 ヴェリミール・フレーブニコフ『カー』
 4 アレクサンドル・ブローク『十二』
 5 マリーナ・ツヴェターエワ『私の軽やかな歩み』
 6 エヴゲーニー・ザミャーチン『われら』
 7 ユーリー・オレーシャ『羨望』
 8 ウラジーミル・マヤコフスキー『南京虫』
 9 ニコライ・オストロフスキー『鋼鉄はいかに鍛えられたか』
 10 アンドレイ・プラトーノフ『ジャン』
 11 アンナ・アフマートワ『レクイエム』
 12 イサーク・バーベリ『ディ・グラッソ』
 13 イワン・ブーニン『アルセーニエフの人生 青春』
 14 ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』
 15 ミハイル・ショーロホフ『静かなドン』
 16 アレクセイ・トルストイ『苦悩の中を行く』
 17 ミハイル・ゾーシチェンコ『日の出前』
 18 ウラジーミル・ナボコフ『賜物』
 19 ボリス・パステルナーク『ドクトル・ジヴァゴ』
 20 ワシーリー・グロスマン『人生と運命』
 21 アレクサンドル・ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』
 22 ヴェネディクト・エロフェーエフ『酔どれ列車,モスクワ発ペトゥシキ行』
 23 アンドレイ・ビートフ『プーシキンの家』
 24 サーシャ・ソコロフ『馬鹿たちの学校』
 25 ワレンチン・ラスプーチン『生きよ,そして記憶せよ』
 26 アンドレイ・シニャフスキー/アブラム・テルツ『おやすみなさい』
 27 ファジーリ・イスカンデル『チェゲムのサンドロおじさん』

D 現代の文学
 イントロダクション 現代のロシア文学
 1 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』
 2 セルゲイ・ドヴラートフ『かばん』
 3 ヨシフ・ブロツキー『私人』
 4 リュドミラ・ウリツカヤ『ソーネチカ』
 5 ヴィクトル・ペレーヴィン『チャパーエフと空虚』
 6 ボリス・アクーニン『堕天使殺人事件』
 7 ウラジーミル・ソローキン『青い脂』
 8 リュドミラ・ペトルシェフスカヤ『私のいた場所』

E ロシアの詩
 イントロダクション ロシアの詩
 1 ロシア詩の黎明
 2 プーシキンとその時代
 3 市民詩と純粋芸術詩の時代
 4 象徴主義とアクメイズム
 5 アヴァンギャルドとオベリウ
 6 ソ連中─後期の詩

 第Ⅱ部 コンテクスト──ロシア文学とその周辺

A ロシアの思想・批評
 1 西欧派とスラヴ派
 2 ニヒリストと革命的民主主義者
 3 ナロードニキ思想とマルクス主義
 4 ロシア・コスミズム
 5 ロシア・フォルマリズム
 6 バフチンとその周辺
 7 モスクワ=タルトゥー学派

B ロシアの心象地理
 1 自己表象としてのペテルブルク神話
 2 他者表象としてのコーカサス
 3 原風景としての中部ロシア
 4 境界上のウクライナ

C ロシア文学の周辺
 1 ロシア正教・古儀式派(分離派)・セクト
 2 コサック
 3 ユダヤ人
 4 ナロードとインテリゲンツィア
 5 メディアと読者
 6 亡命文学
 7 ソ連多民族文化
 8 絵画
 9 映画
 10 演劇
 11 音楽

D 世界の中のロシア文学
 1 ロシア文学とフランス文学
 2 ロシア文学とドイツ文学
 3 ロシア文学とイギリス文学
 4 ロシア文学と日本文学
 5 ロシア文学とアメリカ文学
 6 ロシア文学と中国文学
 7 ロシア文学とラテンアメリカ文学

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