動員のメディアミックス : 「創作する大衆」の戦時下・戦後

動員のメディアミックス

「創作する大衆」の戦時下・戦後

編著
社会
大塚英志 編
菊地暁(人文科学研究所 / 分担執筆)
Akira Kikuchi (人文科学研究所, 分担執筆)
出版年月
図書体裁
A5判
出版社
思文閣出版
ISBN
9784784218974
定価(税抜)
4,800
頁数
520
本文言語
日本語

内容紹介

現代の日本まんが・アニメーションにおけるマーケティング技法として注目されるメディアミックスを、とくに戦時下日本における「動員」の技術として捉え直すことで、メディア、プロパガンダ研究史の更新を試みる論集。

まんが・アニメーション・映画・模型といったメディア内、およびメディア間の相互関係のみならず、多様な分野に成立した〈創作する大衆〉の「書く」「つくる」という行為や書式が、いかにして「動員」されていったのか。その諸相を描き出す。

また、一次資料として、日本映画史研究の第一人者・牧野守氏による三木茂(1905~78 記録映画監督)インタビューを収録する。

目次

まえがき(大塚英志)

メディアミックスによる動員(マーク・スタインバーグ Marc Steinberg 雑賀忠宏 訳)
戦時下のメディアミックス(大塚英志)

Ⅰ 戦時下のメディアミックス
東宝スペクタクル映画『孫悟空』に見る戦時色(秦剛)
日本アニメーションのもうひとつの源流(佐野明子)
〈漫画的イメージ〉の拡散(鈴木麻記)
戦時下の兵器模型と空想兵器図解(松井広志)
選挙粛正運動における視覚メディア(室井康成)

Ⅱ 〈創作する大衆〉と動員のリテラシー
動員される映画観客のリテラシー(近藤和都)
戦時下におけるアマチュア映画文化(板倉史明)
いくつかの〈こども風土記〉(菊池暁)
昭和十三年の高等女学校制服調査にみる戦時下と制服(嵯峨景子)                  
自身の領分(鶴見太郎)

Ⅲ 動員の諸相
トランスナショナルな映画史の可能性(堀ひかり)
教育イストリエタの歴史の描き方(アルバロ・ダビド・エルナンデス・エルナンデス Alvaro David Hernandez HERNANDEZ)
ある海軍技師の光学技術と戦後メディア(内田力)
フェアプレイと混沌の狭間に(山本忠宏)
一九六〇年代のエロ・やくざ映画ブームとその背景(北浦寬之)

補論 レイヤー化する歴史
プログラミングによるレイヤー実装構想と抽象化の壁(藤岡洋)
麻枝准に与えた村上春樹の影響(浅野龍哉)
まんがにおける〈大きな物語〉の復権(斉夢菲)

問題提起 研究ノート/資料
岩淵正嘉文献リスト(肥田野茂)
「規格化」をめぐる知の政治学(近藤和都)
三木茂インタビュー(インタビュアー:牧野守)

図書に貢献している教員