大学生白書2018 : いまの大学教育では学生を変えられない
目次
問題
電通育英会と京都大学の溝上慎一教授によって2007年から通時的に行われてきた「大学生のキャリア意識調査」が捉えた大学生の実態とそこで表れた課題とは何か。
結論
今の大学教育では学生を変えられない。
なぜそう言えるか?―本意識調査データから分かること―
1. この10年間の全国の大学生の学びと成長をさまざまな観点から分析して、大学生はこの10年間ほとんど変わっていないか、観点によっては成長が落ちているといえる。全体で見ても、偏差値別に見ても、この結果は変わらない。
2. 文科省施策の観点からは、この10年は学士課程答申、質的転換答申をはじめ、大学教育による学習成果、内部質保証を目指す機関であった。その10年の結果がこれである。
どうするか?
1. どのような特徴を持つ学生が新しい社会に適応できるのか、学び成長するのかという見方はずいぶん出そろってきている。本気で最後まで教育改革というレースを走り切ろうとしている大学はどこかを見定めていくのが、今後の課題である。
2. 中学校・高等学校から、先々の仕事・社会をある程度見据えながら生徒の資質・能力等を育て、大学や仕事・社会に彼らの学びと成長(バトン)を引き渡していく「トランジションリレー」が必要だ!