モンゴル時代の「知」の東西 ( 上巻)

モンゴル時代の「知」の東西

上巻

単著
歴史
宮紀子(人文科学研究所 / 著者)
Noriko Miya (人文科学研究所, 著者)
出版年月
図書体裁
菊版
出版社
名古屋大学出版会
ISBN
9784815809003
定価(税抜)
9,000
頁数
576
本文言語
日本語

内容紹介

日本からヨーロッパまで――。世界史上、空前のレベルで展開したユーラシアを貫く「知」の交流。百科事典や辞書・地図から宗教・政治・経済の諸制度まで、モンゴル帝国によるダイナミックな革新と統合の実像を、多言語の文献・美術品・出土文物を駆使して描き出す記念碑的労作。

目次

口絵解説 —— 序にかえて

  第Ⅰ部 日出づる処の資料より

第1章 対馬宗家旧蔵の元刊本 『事林広記』 について
  1 はじめに
  2 宗家の 『事林広記』
  3 泰和律令と至元大典 —— 南北の 「知」 の統合
  4 むすびにかえて

第2章 叡山文庫所蔵の 『事林広記』 写本について
  1 はじめに
  2 比叡山延暦寺恵心院の 『事林広記』
  3 衝撃の別集巻二 「官制類」
  4 クビライ時代初期の官僚制
  5 おわりに
  附論1 陳元靚 『博聞録』 攷
  附論2 新たなる 『事林広記』 版本の発見にむけて

第3章 江戸時代に出土した博多聖福寺の銀錠について

第4章 『卜筮元亀』 とその周辺

  第Ⅱ部 大元ウルスの宗教政策

第5章 歴代カアンと正一教
      ——『龍虎山志』 の命令文より
  1 はじめに ——『龍虎山志』 簡介
  2 モンゴル朝廷と正一教
    1) 世祖クビライ時代
    2) 成宗テムル時代
    3) 武宗カイシャン時代
    4) 仁宗アユルバルワダ時代
  3 命令文の体式
  4 石の齢を越えて

第6章 庇護される孔子の末裔たち
      —— 徽州文書にのこる衍聖公の命令書
  1 はじめに
  2 孔端朝とその後裔
  3 衍聖公の命令書
  4 むすびにかえて

第7章 地方神の加封と祭祀 ——『新安忠烈廟神紀実』 より
  1 はじめに
  2 『新安忠烈廟神紀実』 簡介
  3 至元二十五年の道仏闘争
    1) 楊璉真珈の発給文書二件
    2) 解 説
  4 加封申請への道
    1) 徽州路総管府の保管文書四件
    2) 解 説
  5 おわりに

  第Ⅲ部 ケシクからみた大元ウルス史

第8章 バウルチたちの勧農政策
      ——『農桑輯要』 の出版をめぐって
  1 はじめに
  2 クビライ時代の勧農政策
    1) ヴェールを脱いだ高麗版 『農桑輯要』
    2) 大司農司の設立
    3)『農桑輯要』 の編纂
    4) 大司農司の浮沈
    5) 東西文化の交流
    6) ボロトが去って
  3 成宗テムル以降の勧農政策
    1) 江南開発の中で
    2) 王禎と 『農書』
    3) 元刊大字本 『農桑輯要』 とその咨文
    4) 苗好謙と 『栽桑図説』
    5) 魯明善と 『農桑撮要』 の出版
    6) 見直されるべき泰定帝イスン・テムルの治世
    7) 度重なる政変の中で
    8) 二世、三世の大司農司
  4 むすびにかえて ——『事林広記』 が語ること

第9章 ブラルグチ再考
      —— カネとちからの闘争史
  1 はじめに
  2 建前の世界のブラルグチ
  3 ブラルグチの実態
    1) 不蘭奚と闌遺
    2) 路・府・州・県における遺失物管理
    3) 権力闘争のなかで
    4) ブラルグチたちの横暴
  4 おわりに

第10章 モンゴル・バクシとビチクチたち
  1 はるかなる匈奴の記憶
  2 モンゴル命令文の世界
  3 『書記規範』 の任命書

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