台湾、あるいは孤立無援の島の思想 : 民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて
目次
フォルモサ、香港、日本に献げる――日本語版への序文
序 幸福な島にて
I 窮境を脱するために――歴史のヴェールをはがす
1 台湾ポストコロニアル・テーゼ――A Partisan View
2 民主化のパラドックスとディレンマ?――台湾ナショナリズム再考
3 国家建設、内部植民と冷戦――戦後台湾における国家暴力の歴史的文脈および移行期正義問題の根源
II 窮境に嵌まりこむ――帝国の狭間で
4 賤民宣言――あるいは台湾の悲劇の道徳的意義
5 比較史、地政学、そして日本において寂寞の内に台湾を研究するという営みについて――ベネディクト・アンダーソンへの応答
“De courage, mon vieux, et encore de courage!”――ベネディクト・アンダーソンへの手紙
III-1 再び、窮境を脱するために――ニーチェ的カント主義者の夢想
日本「我は一個の他者である」
6 反記憶政治論――日台関係の再構築にかかわる歴史学主義の観点
7 賤民の救済と過去の償い――「村山談話」をめぐる一台湾人の省察
8 最も高貴な痛苦――大江健三郎『ヒロシマ・ノート』『沖縄ノート』における日本への郷愁
世界「虐げらるるものの解放、沈めるものの向上、自主独立なるものの平和的結合」
9 道徳の政治的基礎を論ずる――南アフリカと台湾との移行期正義モデルにかかわる初歩的比較
10 琉球共和国に捧ぐ――一台湾人による松島泰勝『琉球独立への道』読解
11 リリパット人たちの夢――香港ナショナリズムにかかわる思索ノート
12 歴史と自由の弁証法――香港における「国民教育科」推進問題をめぐる内省
13 ユートピアへの航行――「小国の魂」について
III-2 再び、窮境を脱するために――社会的意志の創造
14 社会運動、民主主義の再定着、国家統合――市民社会と現代台湾における市民的ナショナリズムの再構築(2008-10年)
15 黒潮論
付録
1 民主、平和、守護台湾(1996年3・22世界キャンドル守護台湾民主運動宣言)
2 野イチゴをしてわれわれを団結せしめよ(2008年野イチゴ運動に捧げる詩)
初出一覧
戦後台湾政治史関係年表
訳者あとがき