多言語化する学校と複言語教育 : 移民の子どものための教育支援を考える

多言語化する学校と複言語教育

移民の子どものための教育支援を考える

編著
言語
教育
大山万容, 清田淳子, 西山教行編著 ; 浜田麻里 [ほか著]
西山教行(人間・環境学研究科 / 編集, 分担執筆)
Noriyuki Nishiyama (人間・環境学研究科, 編集, 分担執筆)
出版年月
出版社
明石書店
ISBN
9784750353937
頁数
182
本文言語
日本語

内容紹介

移民の増加に伴い多言語化する学校での言語教育は、日本が言語・文化の多様性をどのように位置づけるかを決める重要な問題といえる。
学校は多言語化にどう対応できるのか、個人はどのような言語・文化的経験を持ち、言語・文化と関わりながら生きているか、さらに母語などを取り入れ言語を複数化させることの意義と方策について、複言語教育・複言語主義の理論的枠組みとカナダ、フランス、ニューカレドニアの事例も踏まえて論じる。

目次

序論[大山万容]
 移民の増加と学校の多言語化
 移民現象が言語教育学に問いかける問題
 複言語主義について
 本書から見えるいくつかのテーマ
 謝辞

第1部 多言語化する日本の学校

 INTRODUCTION[清田淳子]

移民との共存のための複言語教育[大山万容]
 1 日本における移民
 2 異言語話者を含む学校での言語教育
 結論

日本における外国人児童生徒等への教育と支援――日本語指導担当教員の方略に焦点を当てて[浜田麻里]
 1 序
 2 外国人の子ども達の教育からの排除
 3 日本語指導教員の方略
 4 ミクロな方略を支えるマクロな構造の脆弱さ
 5 外国人受入れ拡大への対応
 6 おわりに

日本の公立中学校における母語を活用した学習支援[清田淳子]
 1 はじめに
 2 「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」の概要
 3 「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」を用いた学習支援の概要
 4 「母語による先行学習」の実際
 5 「日本語による先行学習」の実際
 6 まとめと今後の課題

視覚的言語自伝に見る移民1.5世の複言語主義――被支援者から支援者への道のり[オチャンテ・村井・ロサ・メルセデス/大山万容]
 1 はじめに
 2 著者の視覚的言語自伝
 3 視覚的言語自伝から見える複言語主義――言語の「満ち欠け」、言語の「意味」および文化との関わりの変遷
 4 描き、物語ることを通した省察の意義と教育への示唆

「多様化」を唱える小学校外国語教育の課題――日本の小学校における外国語指導助手の表象と現実をめぐって[ピアース・ダニエル・ロイ]
 1 はじめに
 2 ALTの導入と変遷
 3 非英語母語話者による授業実践
 4 考察
 5 さらなる展望

第2部 多言語化する海外の学校

 INTRODUCTION[西山教行]

多言語主義に開かれる学校――カナダ、フランス、ニューカレドニアでの体験から考える[エラレチアナ・ラザフィマンディンビマナナ/西山教行・訳]
 序
 1 多言語主義という用語とさまざまな視点
 2 多言語主義、レトリック、価値観、脅威
 3 他者性を強調する多言語主義
 4 結論、将来に向けた考察

フランスにおける移民の子どもの受け入れ――バイリンガリズム(複言語主義)の承認と発展を目指す学校のために[ナタリー・オジェ/大山万容・訳]
 1 フランスにおける移民の子どもの受容――これまでの歴史的プロセス
 2 児童生徒の言語と経験
 3 バイリンガリズム(複言語主義)を承認し発展させるために学校で実施される制度レベルの研究
 4 移民の子どもが役割を持つことができるようなバイリンガル(複言語主義)学校のための考察とモデル化

移民児童による第二言語としてのフランス語習得――小学校における緘黙の予防[ジェレミー・ソヴァージュ/藤井碧・訳]
 1 ある事例
 2 子どもと言語使用――構築の長い過程
 3 第二言語のアプロプリエーション――一つの言語が別の言語を隠す
 4 表象の重要性
 5 結論

カナダの異言語話者――学習困難を抱え、フランス語が第二言語である児童の出身言語がつづりの問題を克服するための切り札となるとき[キャロル・フルーレ/松川雄哉・訳]
 1 問題提起
 2 概念的枠組み
 3 メタグラフィック・コメント
 4 児童文学
 5 実験方法
 6 結論
 7 教育的展望

 あとがき[清田淳子]
 編著者・訳者紹介

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