環太平洋地域の移動と人種 : 統治から管理へ、遭遇から連帯へ

環太平洋地域の移動と人種

統治から管理へ、遭遇から連帯へ

編著
人類学
政治・行政
社会
田辺明生, 竹沢泰子, 成田龍一編
竹沢泰子(人文科学研究所 / 編集, 分担執筆), 徳永悠(人文科学研究所 / 分担執筆)
Yasuko Takezawa (人文科学研究所, 編集, 分担執筆), Yu Tokunaga (人文科学研究所, 分担執筆)
出版年月
出版社
京都大学学術出版会
ISBN
9784814002481
定価(税抜)
3,600
頁数
428
本文言語
日本語

内容紹介

西欧の帝国主義・国民国家は肌の色など身体的特徴を「人種」としてカテゴリー化した。しかし今やさらに先鋭化した人種化が席捲している。文化や生活習慣など見えない差異で線をひく厄介な人種化は、人が複雑に移動し交錯してきた「環太平洋型」といえる。本書は環太平洋型の人種化の史的起源と現状を示し、さらに芸術や対話の場を通してオルタナティブなグローバル化の道を探る。

目次

序論

Ⅰ 拡大する帝国・国民国家
第1章 遭遇としての植民地主義
    ――北海道開拓における人種化と労働力の問題をめぐって
    [平野克弥]
第2章 植民地統治と「カテゴリー」
    ――植民地期シンガポールでの治安秩序維持を事例として
    [鬼丸武士]

Ⅱ マイノリティたちの遭遇・共感・連帯
第3章 アメリカに渡った被差別部落民
    ――太平洋を巡る「人種化」と「つながり」の歴史経験
    [関口 寛]
第4章 排日から排墨へ
    ――一九二〇年代カリフォルニア州における人種化経験の連鎖
    [徳永 悠]

Ⅲ 政治実践としての記憶と表象
第5章 博物館におけるマイノリティ表象の可能性
    ――差別と人権の政治学 [吉村智博]
第6章 日系アメリカ人の原爆批評
    ――戦争の記憶と一九九五年のエノラ・ゲイ展
    [内野クリスタル]
第7章 一九九二年ロスアンジェルス蜂起をめぐる表象の政治
    ――『薄明かり――ロスアンジェルス、1992』と記憶の重層性
    [土屋和代]

Ⅳ グローバル化時代の管理と抵抗
第8章 巡礼する人種主義のためのノート [成田龍一]
第9章 ヴァーチャル化する「人種」
    ――現代インドにおけるデータガバナンスと人種化 [田辺明生]
第10章 「ほどく」「つなぐ」が生み出すマイナー・トランスナショナリズム
    ――井上葉子とジーン・シンの作品と語りから [竹沢泰子]

あとがき
索引

図書に貢献している教員