中国農漁村の歴史を歩く (学術選書 095)

中国農漁村の歴史を歩く

学術選書 095

単著
地域研究
歴史
太田出(人間・環境学研究科 / 著者)
Izuru Ota (人間・環境学研究科, 著者)
出版年月
図書体裁
四六判
出版社
京都大学学術出版会
ISBN
9784814003204
定価(税抜)
1,800
頁数
312
本文言語
日本語

内容紹介

近現代中国の農漁村の歴史を文献のみから描き出そうとしても、それは至難の業である。とりわけ本書が取り扱う、村落のミクロな世界や漁民の水上世界、あるいは感染症の世界は、文献にはなかなか書き残されていない。そこで本書では、従来の歴史学にフィールドワークという新たな手法を加えることで、“歴史を歩きながら”文献の世界から漏れ出てしまった人びとの生活に光をあてようと試みる。

目次

序章 どうして歴史学者が現代中国の農漁村を歩くのか

第1章 地域社会論とは何か
1 中国近世「地域社会論」の登場
2 中国近世「地域社会論」の現在

第2章 太湖流域におけるフィールドワークの系譜
1 戦前のフィールドワーク
2 戦後のフィールドワーク

第3章 歴史学者とフィールドワークの実践
1 フィールドワークを実践する側と受ける側
2 フィールドワークと歴史学の展望
❖参考書籍・論文(一)―中国地域社会論を深めたい人へ

第4章 華南農村を歩く―福建省の農村と祀られる神々
1 歩文鎮蓮池社という村―林毅川氏との出会い
2 福建省歩文村蓮池社
3 迎神賽会
4 迎神賽会と村の領域

第5章 村のなかの「村」の名残―村の歴史をたどる
1 石倉村石倉社に林永記氏をたずねて
2 社と角落
3 角落と信仰
❖参考書籍・論文(二)―中国村落史研究を深めたい人へ

第6章 水上に暮らす人びと―太湖流域の水上世界
1 歴史文献とインタビューから見た太湖流域の漁民たち
2 歴史文献から水上の暮らしを映し出す
3 フィールドワークから水上の暮らしを映し出す

第7章 近現代の水上世界と今もなお生き続ける″伝統″
1 近現代国家による船上生活漁民の掌握と陸上定居の試み
2 生き続ける「伝統」的紐帯
❖参考書籍・論文(三)―中国漁民・漁業史研究を深めたい人へ

第8章 近現代中国の政治と日本住血吸虫病
1 中国における日本住血吸虫病流行史
2 戦後中国の政治と日本住血吸虫病
3 習近平と新冠肺炎(COVID-19、新型コロナウイルス感染症)

第9章 近現代中国の日本住血吸虫病と語られる血防
1 日本住血吸虫病の現場(一)―地方志と血防志
2 日本住血吸虫病の流行地を歩く―血防工作関係者と医者へのインタビュー

第10章 現代中国の輸入性血吸虫病と「一帯一路」構想
1 日本住血吸虫病の最新状況―国内における他省からの″輸入″
2 中国人のアフリカ進出と感染
3 「一帯一路」構想と血防経験の″輸出″
4 歴史・住血吸虫病・フィールドワーク
❖参考書籍・論文(四)―中国感染症史研究を深めたい人へ

おわりに
索 引

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