近代心理学の歴史 : 1933-1934 (ETH(エーテーハー)レクチャー 第1巻)

近代心理学の歴史

1933-1934

ETH(エーテーハー)レクチャー 第1巻

翻訳
心理
C・G・ユング著, E・ファルツェーダー編, 河合俊雄監修, 猪股剛 [ほか] 訳
河合俊雄(人と社会の未来研究院 / 監修)
Toshio Kawai (人と社会の未来研究院, 監修)
出版年月
図書体裁
A5判
出版社
創元社
ISBN
9784422117331
定価(税抜)
3,800
頁数
360
本文言語
日本語

内容紹介

本書が示すユング心理学の新たな五つの本質

〈1〉一般聴衆に向けたユングの語り
大講義室で600人もの聴衆を前に語られたレクチャー・シリーズ! 「分かりやすいユング心理学」がいまここに明らかになる。ユングの著作は、難解な言葉使いと専門用語に溢れ、読者には“難しい”と感じられることが多かった。しかし、本書で心理学を語るユングは、専門家ではない人たちにも分かるように、情緒豊かに言葉を紡いでいく。本書は、ユングの〈語り部〉としての資質がいかんなく発揮されたシリーズの第1巻。

〈2〉ユングの考える心理学の歴史
慣習的な考えから脱し世界への信仰が揺らぐとき、心理学は始まる。それまで象徴的に信じられてきたものから自分を解放していく運動は、ルネッサンス期に花開き、啓蒙思想と結びつき17世紀に大きく展開していく。ライプニッツやカントなどの哲学者から、フェヒナーやウィリアム・ジェームズといった心理学者まで、世界の思想史に現れる心理学をユングが丁寧に語り継ぎ、新たな時代に向かう心理学の道を示す。

〈3〉伝統的な心理学の歴史を生きる
ユングは、心理学の歴史の中に生きているのであり、精神分析の歴史の中にいるのではない。ユングは、長いあいだフロイトに始まる精神分析の中に位置づけられてきたが、実は、ウィリアム・ジェームズやテオドール・フルールノワといった伝統的な心理学者、そしてオイゲン・ブロイラーやピエール・ジャネといった精神医学領域の心理学者から大きな影響を受けている生粋の心理学者なのである。〈心の科学〉としてのユング心理学の新たな形がここに見えてくる。

〈4〉新しいタイプ論の図示
ユングが世界の学術界で最も大きな評価を獲得したのは、おそらくその著書『タイプ論』においてである。本書には、いままで公開されてこなかった新しいユングのタイプ論が自作の図で示されており、それは分かりやすさの点では『タイプ論』への導入であり、意識の移行図としては『タイプ論』の新たな展開である。意識のあり方が詳細に分類示され、外へ内へと意識が移り変わっていく様が、歴史上の人物を題材として示される。

〈5〉オカルト的ユングの真相
多くの読者が最も関心を抱いているのは、ユング心理学のオカルト的な側面かもしれない。本書では、霊媒現象やオカルト現象を扱った書籍、J・ケルナーの『プロボウスとの女予見者』とT・フルールノワの『インドから火星へ』が詳細に分析されている。一見すると、疑わしく了解不可能に感じられる現象に対して、ユングはどのように関わったのか?そこにはきっと、きわめて臨床的なユングの真相が見えてくることだろう。(本書には、この二冊の詳細な読書案内が掲載されている。)

図書に貢献している教員