インドにおける大衆芸能と都市文化 : タマーシャーの踊り子による模倣と欲望の上演

インドにおける大衆芸能と都市文

インドにおける大衆芸能と都市文化

タマーシャーの踊り子による模倣と欲望の上演

単著文学・芸術地域研究人類学

飯田玲子(アジア・アフリカ地域研究研究科 / 著者)
Reiko Iida (アジア・アフリカ地域研究研究科, 著者)
出版年月
2020.03
図書体裁
A5
出版社
ナカニシヤ出版
ISBN
9784779514326
定価(税抜)
4,000
頁数
258
本文言語
日本語

内容紹介

「私たちはカーストのしがらみから自由だ」

多様な人が集う「放浪部族」が担う大衆芸能タマーシャー――時代の流行を柔軟に取り入れ、つねに新たな要素を付け加えていくタマスギール(タマーシャーの担い手たち)の文化、生活を描き出す民族誌

血のにじむような努力を重ねた人が、獲得した知識やスキルを、目の前の相手に惜しみなく与える姿には心を打たれた。またタマスギールの多くが、物乞いに対してお金を渡していたことも印象深い。社会の周縁におかれながらも、他者を気遣う姿は、本書の冒頭でふれた、タマーシャーの調査なんてできるわけがない、恐ろしい世界だという周囲からの声とは異なったものであった。タマスギールの世界に飛び込んでみると、そこには弱い存在だからこそ、手を取り合って助け合う人々の生活世界が広がっていた。(「おわりに――そして舞台はつづく」より)

目次

はじめに

序 論 インド社会を映し出す大衆芸能

第一節 インド芸能文化研究のなかでのタマーシャー
第二節 インドにおける都市文化とそのアクター
第三節 インドの大衆文化を捉えるために
第四節 都市の大衆と多様な人々の参加を可能にする模倣の技法
第五節 本書の構成
第六節 フィールドワークの概要

第一章 タマーシャーの芸能的な位置づけとその文化史

第一節 タマーシャーを担う人々の社会的位置づけ
第二節 タマーシャーの芸能形態
第三節 タマーシャーの起源と展開
第四節 インド独立以後のタマーシャーの展開
第五節 社会の周縁に生きる人々――第一章まとめ

第二章 タマスギールとは誰か――流動的な集団原理と渡り歩くことによって得られる技芸

第一節 職能集団としてのタマスギール
第二節 多様な人が集うタマーシャー空間の論理
第三節 子弟の職業選択肢の拡大
第四節 職能から職業へ――第二章まとめ

第三章 公共文化としてのタマーシャー

第一節 タマーシャーをめぐる現代的な変化
第二節 タマーシャーの変容を担う多様なアクターとセクシュアリティ、エロスをめぐる討議の動態
第三節 タマーシャーは誰の芸能なのか――タマーシャーをめぐるメディア上の議論
第四節 タマーシャーの価値位置づけをめぐる現代的変容
第五節 グローバルに展開する『ナタラング』
第六節 新たな観客たちの夢としてのタマーシャー、ラーワニー
第七節 多様な人々の欲望を引き受けるタマーシャー――第三章まとめ

第四章 模倣のなかで生成されるエロス――複製媒体の制作と流通による芸能の拡散

第一節 複製技術論と大量生産による大衆消費文化の成立
第二節 模倣し合うインド映画とタマーシャー
第三節 小規模資本の音楽映像制作販売会社の台頭
第四節 メディアを介した自文化の「再発見」とアマチュアダンサーの登場
第五節 越境するラーワニー
第六節 模倣が創り出す新たな価値――第四章まとめ

第五章 メディアの発展による身体動作の変容と「視線」

第一節 複製技術の到来と踊り子の身体
第二節 レンズ越しのラーワニー
第三節 チップの慣行から「ワンスモア」へ
第四節 踊り子たちによる視線を通じた観客の取り込み
第五節 複製技術と観客を媒介しながら生成され続ける踊り――第五章まとめ

結 論

第一節 全体の議論の総括
第二節 現代インドにおける都市文化と大衆芸能の変容

おわりに――そして舞台はつづく

図書に貢献している教員