今からはじめる哲学入門 (学術選書 087)

今からはじめる哲学入門

学術選書 087

編著
哲学・思想
戸田剛文編
戸田剛文(人間・環境学研究科 / 編集, 分担執筆)
Takefumi Toda (人間・環境学研究科, 編集, 分担執筆)
出版年月
図書体裁
四六版
出版社
京都大学学術出版会
ISBN
9784814001798
定価(税抜)
1,800
頁数
256
本文言語
日本語

内容紹介

なんだか難しそうな哲学。中身は分からなくても、漠然と難しそうにみえる哲学。しかし、哲学することはなにも特別な行為ではない。哲学が扱うのはどれも実は身近な問題ばかりである。ニュースなどで見かける問題、人と話すときに話題にするようなこと、実はそこに哲学が隠れている。本書は、これを手がかりにさらに読者なりに考えを深めるための道具箱のようなものである。カントいわく、哲学は学べない。読者はこれをヒントに自分で考える。そこに哲学が存在する。

目次

はじめに(戸田剛文)

第一部 身近なテーマから

第1章……いま芸術に何が期待されているのか(阿部将伸)
はじめに
1 視線の向けかえ―古代
2 視線の落ち着き先の変容1―古代末から中世へ
3 視線の落ち着き先の変容2―近代
4 コミュニティ感覚
おわりに

第2章……犬と暮らす(戸田剛文)
はじめに
1 動物への道徳的配慮
2 具体的な問題
3 動物を食べることは正当化できるのか
4 幸福な社会

第3章……宗教原理主義が生じた背景とはどのようなものか(谷川嘉浩)
はじめに
1 原理主義とはどのようなものか
2 近代化と、キリスト教原理主義
3 手のなかに収まらないものへ

第4章……幸福の背後を語れるか(青山拓央)
はじめに
1 幸福をめぐる三説
2 「私」の反事実的可能性
3 私的倫理と自由意志
4 『論考』と言語
5 『論考』と倫理

第二部 哲学の伝統

第5章……原因の探求(豊川祥隆)
はじめに―「なぜ」という問いかけ
1 言葉の根―「アイティア」について
2 近代科学という営みと「目的」の瓦解
3 ドミノ倒し
4 現代の「原因」観―概念の多元主義にむけて
5 おわりに―人間の進歩と面白さ

第6章……言葉と世界(佐野泰之)
はじめに―言葉のない世界
1 言語論的転回
2 論理実証主義への批判
3 解釈学的転回
おわりに―私たちは言語の囚人なのか?

第7章……知識と懐疑(松枝啓至)
はじめに
1 古代懐疑主義
2 デカルトの「方法的懐疑」
3 「懐疑」について「懐疑」する―ウィトゲンシュタインの思索を手掛かりに

第8章……存在を問う(中川萌子)
はじめに
1 「存在とは何か」という問いの動機と必要性―ニーチェとハイデガーの時代診断
2 存在とは何か? 「存在とは何か?」と問うことはどのような営みか?
3 「存在とは何か」という問いの形式と歴史
4 「存在とは何か」と問うことの自由と責任―ハイデガーとヨナスの責任論
おわりに

あとがき
索引(人名・事項)

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