「働くわたし」を失うとき : 病休の語りを聴く臨床心理学 (プリミエ・コレクション 115)
目次
まえがき
序章 「働くわたし」への探究
1 働くことと自己
2 働く人の心のいま
3 働く人の心の問題はどのように考えられてきたか
4 「わたしが働くこと」への問い
5 病休の語りへの関心
6 本書の目的
第1章 病休にともなう「わたし」の体験
ーこれまでの研究を概観して
1 職場のメンタルヘルスに対する取り組み
2 休職者への理解と支援の現状
3 先行研究からみる休職者の主観的な体験
4 現在の休職者支援と研究における課題
第2章 「働くわたし」という自己の揺らぎ
ーメンタルヘルス不調の発見から休職まで
1 職業人の受療を妨げるものは何か
2 どのように心の病いに気づいて休職へと向かうのか
ーインタビュー調査
3 「働けないわたし」との出会いー調査結果から
4 揺らぐ自己を支える受療支援
5 理想の職業人像に潜むリスクを見据えてー本章のまとめ
第3章 「働かないわたし」から新しい「働くわたし」へ
ー休職から復職・回復ヘ
1 休職後にどのような「わたし」が生きられるのか
ーインタビュー調査
2 「働かないわたし」から照射される「働くわたし」
一調査結果から
3 病休における「回復」の問い直し
4 病休を通した自己の変容ー第2章・第3章のまとめ
第4章 頻回病休を生きる「わたし」
1 頻回病休と自己との関連
2 頻回病休はどのように体験されているのか
一インタビュー調査
3 さまざまな自己の様相と自己像間の分極ー調査結果から
4 頻回病休における「働くわたし」の喪失
5 自己全体が抱えられるための支援ー臨床実践に向けて
6 頻回病休を生きる「わたし」へのまなざし
一本章のまとめ
第5章 語りにならない病休の語りを聴くために
ーナラティヴアプローチの新たな可能性
1 「語り」へのアプローチ
2 対話的な語りの視点
3 対話として聴きとる頻回病休の語り
4 語りを対話的に捉えることの臨床的意義
5 新たなナラティヴヘの展望
第6章 「語り」を通して見えてくる病休体験の意味
ー総合考察
1 これまでのまとめと展開
2 病休の語りを「知ること」から「聴くこと」へ
ー質的研究と心理臨床における語りの差異と重なりから
3 語り生きられる「わたし」へのまなざし
4 病休を生きる「わたし」への臨床的アプローチ
終章 「働くわたし」が語るとき
研究ノート1 質的研究は臨床心理学において
どのように語られてきたか
1 臨床心理学における研究法の概略
2 臨床心理学における質的研究法論の概観
3 質的研究の認識論における語りの生成の意義
研究ノート2 従来のナラティヴ分析における語りの認識
1 ナラティヴの認識論的背景
2 従来の水平方向の次元に基づく視点
研究ノート3 語りにおける応答と責任
1 「わたし」が「あなた」に語ること
2 語りを聴き,語り継ぐことの責任
あとがき
初出一覧
文献
索引