東南アジア大陸部の戦争と地域住民の生存戦略 : 避難民・女性・少数民族・投降者からの視点
目次
はしがき
調査対象地地図
序論 東南アジア大陸部の戦争と地域住民の生存戦略をみる視点[瀬戸裕之/河野泰之]
1.本研究における問題意識
2.「東南アジア大陸部の戦争」に着目する意義
3.「地域住民の生存戦略」に着目する意義
4.研究手法としてのオーラル・ヒストリーの重視
5.各地域の戦争の概要と生存戦略をみる視点
6.本書の構成
第Ⅰ部 国家政策からの選択的逸脱が生存戦略となった事例
第1章 総力戦期における北部ベトナムの地域住民の生存戦略――銃後の女性たちの経験と語りから[岩井美佐紀]
はじめに
1.調査地と方法論
2.総力戦と地域住民の生存戦略
3.女性たちの経験から銃後の家族の生存戦略を考える
4.家族と地域の生存戦略を支えるケアの倫理
まとめ
第2章 低強度戦と東北タイ辺境開発史への背理/合理を生きた50年――ある共産党拠点跡地に暮らす農民らの半生から[倉島孝行]
はじめに
1.東北タイ辺境開拓史概観――森林/農地フロンティア地帯を例に
2.CPT対タイ政府攻防史――治安当局の動向と戦略を中心に
3.東北タイの一CPT拠点とその周辺農民4名の半生
まとめ
第Ⅱ部 生業転換が生存戦略となった事例
第3章 ラオス中部地域にみる被戦争社会の変容と地域住民の生存戦略――戦争期の組織的移住と生活再建を中心に[瀬戸裕之]
はじめに
1.ラオス中部地域における戦争の性格と展開
2.内戦期における中部地域住民の戦争経験
3.ヴィエンチャン県における戦争避難民による社会変容
まとめ
第4章 ポル・ポト時代後の内戦下における女性たちの生計戦略――カンボジア・シェムリアップ市を事例として[佐藤奈穂]
はじめに
1.カンボジアの内戦と女性
2.内戦下のシェムリアップ市内の状況
3.ポル・ポト時代以降の女性の生計維持
まとめ
第5章 山茶が動かす冷戦史――冷戦期タイ国北部山地における人口構成の変遷[片岡樹]
はじめに
1.タイ山地社会における冷戦と人口変動の概略
2.民養村周辺の歴史
3.山茶をめぐる民族間関係
まとめ
第Ⅲ部 宗教活動が生存戦略となった事例
第6章 ミャンマーにおける戦争と中国国境周辺地域の変容――少数民族タアーン(パラウン)の生存の技法[小島敬裕]
はじめに
1.ミャンマー北部における独立後の戦争の特徴
2.タアーン民族解放軍(TNLA)の主張
3.タアーン族の村人たちの生存戦略
4.タアーン族避難民の都市部寺院への受け入れ
まとめ
第7章 マージナルな存在を生きる――ベトナム南部カトリック信徒の戦中・戦後史[大野美紀子]
はじめに
1.解放区から入植地へ,そして穀倉地帯へ――ドンタップムオイ地域の変貌
2.調査地カィンフン村における宗教概況
3.戦時下に生きる家族の離散と放浪――インフォーマントの紹介
4.「戦後」地域社会の変化
5.地域社会の中でマージナルな存在を生きる
6.カトリックを巡る地域社会の変化
まとめ
おわりに 戦中・戦後の生存戦略と被戦争社会に関する仮説[瀬戸裕之/河野泰之]
1.本書で扱った各事例からみる地域住民の生存戦略
2.被戦争社会における社会変容に関する仮説
関連年表
索引
あとがき
編著者・執筆者紹介